結婚式についての注意  T 基本的な注意 1. 結婚式は、結婚の約束を公にする当事者に、神の祝福を祈る式である。   (婚約式は、必要な場合、別に掲げる順序で行なうことができる。) 2. 結婚式は礼典ではないから信徒以外の者に対しても行なうことができる。   結婚はすべての人が尊重すべき、神の天地創造の働きに属する(創世2:18.マルコ10:6.ヘブライ13:4)ので、結婚式を挙げようとする人は、信徒であるなしを問わず、結婚の尊厳についての充分な理解が必要である。 3. 結婚式は教会の秩序により、教職按手を受けた牧師が執行する。 4. 教会の結婚式はあらかじめ報告されて、とりなしの祈りが求められ、当事者が信徒である場合は結婚の記事を教籍簿に記入する。 5. 結婚は、ひとりの男子とひとりの女子が、愛と真実のうちに神の召しを受けて家庭を造り、この世の生活を営むことを決意するものであって、それは、精神的、身体的、社会的に数々の責務を伴う。 6. その責任について、次の諸点に留意する必要がある。 aM当事者が、互いに、自由な意志において同意した結婚であること。 bM情緒、身体、経済において、夫婦生活を守り得る状態にあること。 cM当事者の結婚が、両親その他関係者を含め、社会的に祝福を受ける準備をすること。 dM聖書に教える結婚について、理解を深めること。 eM当事者が、結婚についての法に認められる立場にあること。また結婚の届け出についても落ち度なく考えること。 7. 当事者の結婚を、教会が祝福し、結婚式を執行することにより、教会(牧師)は、結婚式後の当事者の家庭への神の祝福を祈り、おくるように留意する。それは信徒の家庭は言うまでもなく、未信徒の場合も同様である。 8. 夫婦のあり方について勧めをし、ことに信徒間の場合は、信徒の家庭生活について、またその家庭に新しい生の誕生が与えられる際には子どもたちが洗礼の祝福に与かるように、勧めをする。 9. 結婚式は、待降節及び四旬節には行なわないことが教会の慣行であるが、特に受難週には執行しないこととする。  U 実際上の注意 1. 結婚式の場所と時について   結婚式の場所と時については、諸式に関する注意に従う。 2. 式順について   通常結婚式文1から16までによって執行する。式文中の括弧書き(1.4.11.12.)は省いてもよいが、結婚式文の9.10.13.14.15.の各号は省略しないものとする。 3. 新郎、新婦の入場、退場について aM結婚式の執行に際し、新郎、新婦の式場への入場が特別に行なわれる場合は、次のいずれかによる。    1新郎、新婦が一緒に入場する場合。    新郎、新婦が並んで入場し、その後に介添え人が続く。または、新婦と介添え人(女性)続いて新郎と介添え人(男性)が入場してもよい。またそれぞれの両親が介添えの役をしてもよい。    2新婦の入場のみ行なう場合。    新婦は、その父親または介添え人と共に、その左側に並んで入場する。友人が介添え人である場合は、新婦の後に続いて入場してもよい。父親が共に入場する場合には、新郎及び介添え人は、予め所定の位置に立ってこれを迎える。 bM退場に際しては、新郎は新婦の右に並んで退場し、介添え人はその後に続く。 4. 式中で会衆が起立する場合 aM参会者は、(新郎)新婦の入場、6.聖書朗読、13.宣言と祝福、および新郎、新婦の退場の時に起立し、その他の時は座ってよい。 bM新郎、新婦は介添え人と共に、8.の讃美歌の最終部分から、聖壇中央部で司式者の前に立つ。 5. 祈りについて   13.で共同祈願を加える場合は、結婚の当事者、介添え人、両親、会衆の中から準備した短い祈りを続けるようにする。  婚約式について 1. 婚約の式は必ずしも必要ではないが、結婚を決めてから、なお式を挙げるまで相当の日時が予定されるような時に、婚約の当事者の決意をかため、周囲の配慮を得て、その交わりが結婚に備えてなされるように、牧師の司式で行なわれる。 2. 婚約式を行なうにあたっては、結婚式についての注意を参考にする。教会においてもまた家庭等においても行なうことができる。 3. 婚約には、特にそのための記念品などを交換する必要はないが、信仰と愛を表現するのに応しいものが、そのしるしとして交換されてもよい。 4. 婚約式は、必ずしも多くの証人を必要としないが、当事者のみでなく、それを証しする者たちが、列席して行なわれるべきである。 結 婚 式  新郎と新婦は所定の位置に着く。  着席に先立って特別な入場の行進を行なってもよい。   1 讃美歌 讃美歌は歌っても、唱和してもよい。  2 み名による祝福  司)父と子と聖霊のみ名によって。      会)アーメン  3 詩篇唱 次の詩篇を交唱または朗読する。  司)主が家を建ててくださるのでなければ、      会)家を建てる者の労苦はむなしい。  司)主ご自身が守ってくださるのでなければ、      会)町を守る人の目覚めているのはむなしい。  司)見よ、子どもたちは主の賜物、      会)胎内の実りは報酬である。  司)いかに幸いなことか、      会)主を畏れ、主の道を歩む人。  司)あなたの手が労して得たものは、      会)すべてあなたの食べ物となる。  司)あなたはいかに幸いなことか、      会)いかに恵まれていることか。  司)見よ、主を畏れる人は、このように祝福される。      会)シオンから、主があなたを祝福してくださる。  全)父、み子、聖霊の神にみ栄え、    初めも今ものちも、世々に絶えず。アーメン  替わりに詩篇、33.67.100.を栄唱を伴って用いてもよい。   4 キリエ 司式者は会衆と交唱する。  司)主よ、憐れんでください。      会)主よ、憐れんでください。  司)キリストよ、憐れんでください。      会)キリストよ、憐れんでください。  司)主よ、憐れんでください。      会)主よ、憐れんでください。  5 特別の祈り 司式者は次のいずれかの祈りを祈る。     1  司)私たちの造り主、贖い主である神。    み子イエス・キリストがカナの婚宴に出席して、喜び、祝福してくださったように、この結婚式に共にいて、み前に立つ二人を顧み、祝福してください。あなたの賜物をもって二人を満たし、小羊の婚宴の喜びにやがて与かることができるようにしてください。    あなたと聖霊と共にただひとりの神であり、永遠に生きて治められる    み子、主イエス・キリストによって祈ります。      会)アーメン     2  司)私たちの造り主、全能の神。    あなたは人類最初の両親をつくり、結婚の絆で結び、その生活を支えてくださいました。今ここにみ前に立ち、結婚の約束を表明する者たちを顧み、あなたの祝福を与えてください。あなたの賜物を二人に満たし、清い愛のうちに共に歩み、み心に適う生涯を送ることができるように助けてください。    あなたと聖霊と共にただひとりの神であり、永遠に生きて治められる    み子、主イエス・キリストによって祈ります。      会)アーメン  6 聖書朗読 適切な聖書の箇所を選び、それに基づいて説教する。  7 説 教 8 讃美歌 讃美歌は歌われても、唱和されてもよい。  新郎新婦は、司式者が指示する聖卓前面に、新郎は新婦の右、新婦は新郎の左に並んで立ち、介添え人がその傍らに並ぶ。  9 勧 め 司式者は新郎新婦に向かって言う。  司)あなたがたは、神と人との前で、結婚の約束を交わし、神の祝福を受けようとしています。聖書が教えているように、結婚は神が定めてくださったことで、すべての人に尊ばれるべきであります。    今、へりくだった心をもって、神の教えの言葉を聞きなさい。    主イエス・キリストは言われました。「天地創造の初めから、神は人を男と女とにお造りになった。それゆえ、人は父母を離れてその妻と結ばれ、二人は一体となる。だから二人はもはや別々ではなく、一体である。」  10 誓 約 司式者は新郎新婦に向かって言う。  司)人は罪のゆえに弱く、また常に重荷を負うものです。しかし、神は私たちを顧み、私たちの愛をきよめ、強め、変わることのない愛へと育ててくださいます。  司式者は新郎に尋ね、新郎は答える。  司)今、私は(新郎氏名)に、尋ねます。    あなたは(新婦氏名)を妻としますか。         答)はい。」  司)あなたは、(新婦氏名)が病気の時にも、健康な時にも、他の者が見捨てるような時にも、妻として守りますか。         答)神の助けによって、約束します。」  司式者は新婦に尋ね、新婦は答える。  司)今、私は(新婦氏名)に、尋ねます。    あなたは(新郎氏名)を夫としますか。         答)はい。」  司)あなたは、(新郎氏名)が病気の時にも、健康な時にも、他の者が見捨てるような時にも、夫として守りますか。         答)神の助けによって、約束します。」  新婦は手袋等を介添え人に渡す。  新郎新婦は対面し、新婦がヴェールをつけている場合は新郎がこれを上げる。  新郎は新婦の右手を取って(握手でもよい)言う。    「私は、あなたを妻とし、生涯あなたを愛し、尊び、誠実をつくします。」  新婦は新郎の右手を取って(握手でもよい)言う。    「私は、あなたを夫とし、生涯あなたを愛し、尊び、誠実をつくします。」  11 指輪の交換 指輪の交換がなされる場合、司式者は指輪を取って聖卓に向かって祈る。  司)神よ。    この指輪が御前に立つ二人にとって、互いの愛と誠実のしるしとなるように祝福してください。主イエス・キリストによって。      会)アーメン  新郎は新婦の左手第4指に指輪をはめながら言う。    「この指輪は、夫婦の愛と誠実のしるしです。」  新婦は新郎の左手第4指に指輪をはめながら言う。    「この指輪は、夫婦の愛と誠実のしるしです。」  12 結婚誓約の署名 式中、婚姻届け等の署名が行なわれる場合、聖壇部、または登壇部に準備された用紙に新郎新婦と関係者が署名する。  13 宣言と祝福 「跪座」がある場合、新郎新婦はひざまずく。  司)あなたがたの右の手を合わせなさい。  司式者はストールを新郎新婦の手に巻いて言う。    (新郎氏名)と(新婦氏名)とは、夫婦の約束を交わし、これを神と人の前で表明しました。    私は、この二人が夫婦であることを宣言します。    父と子と聖霊のみ名によって。    神が結び合わせてくださったものを、人が離してはならない。  司式者は新郎新婦を祝福して言う。  司)神が、あなたがたをきよめ、祝福し、霊肉共に神のみ心に適う者とし、清い愛のうちに過ごさせてくださるように。      会)アーメン  司式者はストールを解き、聖卓に向かって祈る。  司式者は祈りの後、適切な共同祈願を続けてもよい。  司)憐れみ深い、全能の神。    あなたは今、この二人にきよい夫婦の約束を結ばせてくださいました。二人が、互いに変わることのない貞節と、まことの愛情を保つことができるように、恵みのうちに守ってください。そして、あなたの祝福のうちに、平和な家庭を築くことができるようにしてください。    あなたと聖霊と共にただひとりの神であり、永遠に生きて治められる    み子、主イエス・キリストによって祈ります。      会)アーメン  次の祈りを続けてもよい。  司)恵みの神。    あなたは、すべての家庭を祝福し、あなたの民を新たにしてくださいます。どうか、あなたの豊かな恵みのもとで、すべての夫と妻、親と子どもたちが互いに助けあって、永遠の家庭のしるしとなることができるようにしてください。    み子、主イエス・キリストによって祈ります。      会)アーメン  14 主の祈り 会衆は司式者と共に唱える。  15 祝 福 新郎新婦がひざまずいている場合は起立する。  司式者は次のいずれかの祝福の言葉を言う。   (一)  司)全能の神の祝福があなたがたと共にあるように。    父と子と聖霊のみ名によって。      会)アーメン   (二)  司)主イエス・キリストの恵み、神の愛、聖霊の交わりが、あなたがた一同と共にあるように。      会)アーメン 16 讃美歌 新郎新婦は介添え人に預けた手袋等を受け取る。  新郎新婦は讃美歌を歌っている間、或いは讃美歌の後に退場し、介添え人はそれに続く。 婚約の祈り  1 讃美歌 初めに讃美歌を歌ってもよい。  2 讃美唱 次の詩篇を司式者が朗読、または会衆と交読、交唱してもよい。  司)いかに楽しいことでしょう。      会)主に感謝をささげることは。  司)いと高き神よ、み名をほめうたい、朝ごとに、あなたの慈しみを、      会)夜ごとに、あなたのまことを述べ伝えることは。  司)十弦の琴に合わせ、竪琴に合わせ、琴の調べに合わせて。      会)主よ、あなたはみ業を喜び祝わせてくださいます。  司)わたしはみ手の業を喜び歌います。      会)主よ、み業はいかに大きく、御計らいはいかに深いことでしょう。  司)父、み子、聖霊の神にみ栄え、      会)初めも今ものちも、世々に絶えず。アーメン 3 聖 書 司式者は次の聖書のひとつを、または他の適切な箇所を選んで朗読してもよい。    ローマ 15:13 コリント(一) 13:4〜7 ガラテヤ 5:16〜25  4 説 教 5 約束のことば 司式者は婚約する者を立たせ、次の質問を行ない、婚約をする者たちに答えさせる。  司)婚約は、神の恵みと導きのもとに、将来適切な時に結婚しようとする意志を明らかにし、その約束を公にすることです。婚約する二人は神の前に、清い交わりを保ち、互いの理解と愛を深め、結婚の日に至るようにしなくてはなりません。        と    、あなたがたは、今、神の導きのもとに、主の愛に基づき、清い交わりを保ち、結婚の準備をすることを約束しますか。      答)神の助けによって、約束します。」  婚約のしるしを互いに交換してもよい。  6 特別の祈り 司式者は次の祈り、或いは他の適切な祈りをする。  司)慈しみ深い父なる神。    あなたのみ子イエス・キリストの恵みにより、私たちは今、子とされている喜びと平安をもってあなたに近づき、祈ります。ここに立つ兄弟と姉妹は、将来結婚をする意志を互いに表明し、約束いたしました。どうか、あなたの祝福を豊かにお与えください。結婚と家庭に対するあなたの祝福と使命を思う時、結婚するために良い準備をしなくてはなりません。どうか、この兄弟姉妹があなたのみ心を信仰をもって受け入れ、互いに真実な心をもって理解しあうために、知恵と力をお与えください。二人が神と人々の前によい交わりを保ち、やがて喜びの日を迎えますように、お導きください。    み子、私たちの主イエス・キリストによって祈ります。      会)アーメン  7 主の祈り 一同で主の祈りを祈る。  8 祝 福  司)父、み子、聖霊の全能の神の祝福が、あなたがたと共にあるように。      会)アーメン  9 讃美歌 終わりに讃美歌を歌ってもよい。