洗礼式 1. 教会は、その信徒の子女の誕生後、出来る限り早い時期に洗礼を授ける。また、青年・成人に達した者の洗礼志願者には、洗礼を授ける。 2. 洗礼を受ける者が幼・小児の場合は、その年齢に応じて準備し、その親或いは保護者も洗礼の教理、小児の信仰教育、そして堅信に至らせる責任について指導を受ける。   また、洗礼を受ける者が青年・成人の場合、聖書及びルターの小教理問答書に示される教理について学び、さらに(堅信に備え)自ら信仰を表明して、教会の責務にあずかるため、教会の指導を受ける。 3. 洗礼は牧師が行なう。(但し、緊急を要する場合は別に掲げる。) 4. 洗礼の方法は浸礼、潅礼、適礼のいずれであってもかまわない。 5. 洗礼を受ける者には、教会は本教会の信徒の中から教保を立てる。 6. 洗礼を受けた者の氏名は、その洗礼日、生年月日、および両親・教保、洗礼執行者の氏名とともに、速やかに教会の教籍簿に記入される。 7. 洗礼は、キリストの死と復活に結び付いた礼典(サクラメント)であり、特に四旬節の期間の洗礼準備を経て、復活日の礼拝で施される慣わしをもっている。但し、他の平常の礼拝または特別の礼拝で行なってもよい。(また、事情によっては、教会の礼拝以外で行なうこともできるが、その場合には、後日、教会で公に報告されなければならない。) ………… #洗礼式は、通常の礼拝では 16信仰の告白に続いて行なう。 #洗礼式の前に讃美歌を歌ってもよい。 #会衆は着席し、受洗者(幼・小児の場合はその親、あるいは保護者が伴う)と教保は洗礼台(盤)の前に進み出る。 #通常の礼拝以外で洗礼が行われる場合には、司式者は「父と子と聖霊のみ名によって」と唱えた後、「勧め」の言葉を言う。 1 勧め 司)恵み深い天の父は、洗礼によって私たちを主イエス・キリストに結びつけ、その死と復活と共に、私たちを罪と死から解き放ってくださいます。罪の子として生まれた私たちは、洗礼によって神の子として新しく生まれ、永遠のいのちを継ぐ者とされます。水と霊によって、キリストのからだである教会の肢とされ、主と共に、また主の民と共に生き、神のみ旨に従う者へと育てられます。 #司式者は、教保、親、保護者に向かって言う。  あなた(がた)は、キリストにある信仰と愛をもって、この兄弟姉妹【氏名】を、洗礼にあずからせるためにここに伴いました。  あなた(がた)は、彼(ら)と神の家の礼拝を共にしつつ、教会の交わりを保ち、彼(ら)のために心をくばり、神のみ旨に従って彼(ら)を助け、イエス・キリストの日まで共に洗礼の恵みの約束のうちに生活しなさい。 #幼・小児の受洗者の(いる)場合は、続けて言う。  また、この子供らが成長するに従って、その手に聖書を持たせ、主の祈り・使徒信条・十戒を教え、堅信に至るまでキリストへの信仰を堅く育てなさい。 2 祈り 司)洗礼を受けるためみ前に進み出たこの(幼子・兄弟・姉妹)【氏名】のために祈りましょう。 #司式者は聖卓に向かい、次のいずれかによって祈る。 (一)  全能・永遠の神、主イエス・キリストの父よ。  この幼子・兄弟・姉妹のためにお願いします。どうか、この幼子・兄弟・姉妹に、洗礼の賜物と生まれ変わりの洗いによる永遠の恵みを与えてください。愛するみ子によって「求めよ。そうすれば与えられるであろう。捜せ。そうすれば見いだすであろう。門をたたけ。そうすれば開けてもらえるであろう。」と約束してくださったように、彼(ら)とその願いを受け入れてください。  み子、主イエス・キリストによって祈ります。 (二)  全能・永遠の神よ。  あなたは、信仰深いノアとその家族に、洪水によって罪の終わりを示し、彼らを大きな憐れみのうちに救い、新しいいのちの始まりである洗礼をかたどってくださいました。主の民がエジプトを脱出したとき、水の中を通って約束の地へ至らせ、洗礼を受ける者のしるしとしてくださいました。あなたのみ子イエスはヨルダン川でヨハネから洗礼の水を注がれ、聖霊を受けられました。み子の十字架の死の洗礼と新しい生活によって、私たちを罪と死から解き放ち、永遠のいのちの喜びへと導いてくださいました。主はまた、洗礼の水をみ国のしるしとし、私たちの新たないのちの保証として、洗礼を弟子たちに委ねられました。私たちは主の命令によって、洗礼を受け、また洗礼を施します。  どうか今、この幼子・兄弟・姉妹を顧み、まことの信仰のために祝福してください。あなたの恵みの洪水によって、すべての罪を滅ぼし、聖なる箱船である教会のうちに彼・彼女らを守り、み霊に燃えて主に仕える者へと育ててください。こうして、すべての信仰者と共に、約束された永遠のいのちへ導いてください。み子、主イエス・キリストによって祈ります。 3 聖書 #司式者は次の聖書から適切な個所を選んで読む。 司)聖なる言葉を聞きましょう。 (一) ローマ 6:3〜4  あなたがたは知らないのですか。キリスト・イエスに結ばれるために洗礼を受けたわたしたちが皆、またその死にあずかるために洗礼を受けたことを。わたしたちは洗礼によってキリストと共に葬られ、その死にあずかるものとなりました。それは、キリストが御父の栄光によって死者の中から復活させられたように、わたしたちも新しい命に生きるためなのです。 (二) マルコ 10:13〜16  イエスに触れていただくために、人々が子供たちを連れて来た。弟子たちはこの人々を叱った。しかし、イエスはこれを見て憤り、弟子たちに言われた。「子供たちをわたしのところに来させなさい。妨げてはならない。神の国はこのような者たちのものである。はっきり言っておく。子供のように神の国を受け入れる人でなければ、決してそこに入ることはできない。」そして、子供たちを抱き上げ、手を置いて祝福された。 (三) ヨハネ 3:3〜6  イエスは答えて言われた。「はっきり言っておく。人は新たに生まれなければ、神の国を見ることはできない」。ニコデモは言った。「年をとった者が、どうして生まれることができましょう。もう一度母親の胎内に入って生まれることができるでしょうか」。イエスはお答えになった。「はっきり言っておく。だれでも、水と霊とによって生まれなければ、神の国に入ることはできない。肉から生まれたものは肉である。霊から生まれたものは霊である。」 4 主の祈り #洗礼が、礼拝式以外の場で施される場合、司式者は受洗者の頭に手を置き、周りの者と共に主の祈りをする。 #文語を用いてもよい。 司)祈りましょう。 全)天の父よ。   み名があがめられますように。   み国が来ますように。   み心が天で行われるように、地上でも行なわれますように。   私たちに今日もこの日の糧をお与えください。   私たちに罪を犯した者を赦しましたから、私たちの罪をお赦しください。   私たちを誘惑から導き出して、悪からお救いください。   (み国も力も栄光もとこしえにあなたのものだからです。)   (アーメン) 5 宣言 #司式者は、受洗者(また幼・小児の洗礼の場合には、親または保護者)各々に、もしくは一同にその信仰を問い、受洗者(また幼・小児の洗礼の場合には、親または保護者)は答える。 #受洗者が少年少女の年齢に達した者である場合には、その受洗者及び親(または保護者)も共に、問答を交わしてよい。また、その年齢に応じて、ここで説教を行なってもよい。  信仰についての問答は次の(一)(二)のいずれかを用いる。 (一) 司)主と会衆の前で、あなた(がた)に尋ねます。    あなたは、悪魔と、その力と、その空しい約束をことごとくしりぞけますか。 答)『はい、しりぞけます。』 司)全能の父なる神をあなたは信じますか。 答)『はい、信じます。』 司)父の独り子、私たちの主イエス・キリストを、あなたは信じますか。 答)『はい、信じます。』 司)聖霊を信じますか。また聖なる公同の教会、聖徒の交わり、罪の赦し、からだの復活、永遠のいのちをあなたは信じますか。 答)『はい、信じます。』 司)あなたは、この信仰のもとに、キリストのからだに連なる者となり、み言葉の教えを守り、恵みの手段を尊び、生涯をおくりますか。 答)『はい、神の助けによって。』 (二) 司)主と会衆の前で、あなた(がた)に尋ねます。   あなたは、悪魔と、その力と、その空しい約束をことごとくしりぞけますか。 答)『はい、しりぞけます。』 司)天地の造り主、全能の父なる神をあなたは信じますか。 答)『はい、信じます。』 司)父の独り子、聖霊によってやどり、おとめマリアから生まれ、ポンテオ・ピラトのもとに苦しみを受け、十字架につけられ、死んで葬られ、陰府に下り、三日目に死人のうちから復活し、天に上られた方、そして全能の父である神の右に座し、そこから来て、生きている人と死んだ人とをさばかれる私たちの主イエス・キリストを、あなたは信じますか。 答)『はい、信じます。』 司)聖霊を信じますか。また聖なる公同の教会、聖徒の交わり、罪の赦し、からだの復活、永遠のいのちをあなたは信じますか。 答)『はい、信じます。』 司)あなたは、この信仰のもとに、キリストのからだに連なる者となり、み言葉の教えを守り、恵みの手段を尊び、生涯をおくりますか。 答)『はい、神の助けによって。』『はい、神の助けによって。』 6 授洗 #受洗者は洗礼台(盤)の前にひざまづく。幼児の場合は親または保護者が抱いて立つ。 #教保は受洗者と並んで立つ。 司)私たちの主イエス・キリストは言われました。  「わたしは天と地の一切の権能を授かっている。だから、あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい。彼らに父と子と聖霊の名によって洗礼を授け、あなたがたに命じておいたことをすべて守るように教えなさい。わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる。」 #司式者は受洗者の頭に水を三度注ぐ。  【氏名】。私は、あなたに洗礼を施します。  父と、  子と、  聖霊のみ名によって。  (受洗者) 「アーメン」 #司式者は受洗者の頭に手を置いて祝福する。  あなたのすべての罪を赦し、水とみ霊とによってあなたを新たに生まれさせてくださった全能の神、私たちの主イエス・キリストの父が、永遠のいのちに至らせる恵みによって、あなたを強めてくださいます。 7 受洗者のための祈り 司)私たちの主イエス・キリストの父なる神。  洗礼によって、罪の力から解かれて新しいいのちを与えられ、この幼子・兄弟・姉妹が、み国の世継ぎの一人として、受け入れられました恵みとみ心に感謝します。  み言葉と霊の糧によって彼・彼女(ら)を育て、日ごとに、あなたと共にある喜びを豊かに与えてください。  み子、私たちの主イエス・キリストによって祈ります。 8 新しいしるし #司式者は親指で受洗者の額に十字をしるす。 司)【氏名】。聖霊によって刻印された神の子であるあなたに、キリストの十字架をしるします。 #受洗者に洗礼名を与えることができる。  【洗礼名】。これがあなたに与えられる洗礼名です。 #幼・小児の受洗者がいない洗礼の場合、ここから堅信式に移ってよい。 9 教会員への勧め #受洗者は立って会衆の方を向き、会衆は起立する。 #司式者は会衆に向かって言う。 司)神は、洗礼によってこの【氏名】(または、幼子・兄弟・姉妹)をキリストの家族、み国の世継ぎとしてくださいました。  この幼子・兄弟・姉妹を受け入れ、この幼子・兄弟・姉妹のうちに始められた神のみ業が達成されるように祈ってください。 #受洗者(と教保・親・保護者)は席に戻り、一同着席する。 #洗礼を終えて、堅信が行われる場合は堅信式に続く。 #堅信のない場合は、[17]の祝福から「奉献の部」に続く。 #洗礼の方法  浸礼は(洗礼槽、或いは河川等において)、受洗者の全身を水に浸す洗礼を言う。  潅礼は、(洗礼用水盤等から)、受洗者の頭に水を注ぐ洗礼を言う。  滴礼は、(洗礼用携帯水盤等から)、受洗者の額に水をつける洗礼を言う。但し、これは病床洗礼の場合等。 #受洗者の服装  特別に洗礼用の白衣にこだわる必要はなく、新しい命のもとで始まる人生への厳かな思いで身だしなみを整えた日常の服装でよい。しかし、個々の教会が洗礼用白衣を用意しておくことは好ましい。 #洗礼名  洗礼名にこだわる必要はないが、洗礼に始まる新たな人生を聖書の民として歩む自覚を築くために、その他牧会的配慮から洗礼名を用いる場合には聖書から選ぶ。